ケーキ屋の彼

少し歩くと、広場のようなところにたどり着く。


ベンチが置いてあり、座って休憩するにはちょうど適した場所だった。


みんなは、涼からお菓子を受け取ったり、持ってきた飲み物を飲んだりしている。


ベンチに座って耳をすますと、鳥の鳴き声やセミの鳴き声がこの自然に響き渡っていた。


「ねえ、柑菜。ちょっといい?」


座っている柑菜に、亜紀が話しかける。


「うん、いいよ」


亜紀は柑菜を、みんなから少し離れたところに連れて行った。


それはあくまで不自然ではなく、自然な形で。


そして、柑菜にとってはあまり聞きたくなかったことを話す。


「あのね……柑菜には言いづらいんだけど、秋斗さん、美鈴さんのことが好きなんだって」


いつもよりも低いトーンで、それを柑菜に伝える。


「え?」


柑菜は、心の中で積み上げてきた思いが崩れていくのが分かった。


それは、がらがらと音を立てる。


「あとから2人が付き合うのを知るよりも、先に知っておいた方が、ダメージ少なくなるでしょ?」


「そうだね……わざわざ教えてくれてありがとう」


亜紀は、柑菜の肩を抱くと「元気出して」とエールを送った。


柑菜は笑顔を作るも、その目には力がない。
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