ハライメ〜悪喰の大蛇〜
今朝方、久しぶりにあの夢を見た。
日菜子の首に巻き付く蛇の夢。
日菜子のハライノギが行われるこのタイミングでまたあの夢を見るなんて、
もしやこの儀式で良くないことが起こる前触れなんじゃ、などと柄にもないことを考えてしまう。
「何なのかしらね、その夢って。その白蛇は、神社の伝説に出てくる『アケジキ様』なのかしら」
「わかんないよ、全然。大蛇ではなかったけど」
「霊的なものじゃなかったら、ノイローゼとか……まあ、あざみに限ってそんなことはないだろうけど……」
「どういう意味よ」
二人で並んで頭を悩ませていても、この不可解な夢の原因が今ここでわかるわけもない。
だけど、加代とこうして話し合えるだけでもありがたかった。
一人で抱えるにはあまりに嫌な感じの夢だったからだ。
加代はしばらく考えるように黙ってから、真面目な顔で言った。
「ねえ、それって、ヒナちゃんからのテレパシーってことはないかなあ」
「て、テレパシー?超能力?」
「っていうか、何ていうのかな。ヒナちゃんが無意識のうちに発している不安や焦りみたいなものを、あざみが無意識のうちに敏感に感じ取ってしまって、それが夢として現れてしまう……みたいなこと」
「無意識のうちに……?」
「そう。あざみはヒナちゃんの一番近くにいるからね。そういうことも有り得るかなあって」