たとえ、涙が頬を濡らしても。
着替えて、二階の俊稀の部屋に行くとさっそく俊稀はあたしを見て笑った。
『ははっ、そんなに澪春小さかったか?』
「いや、158センチって平均身長だからね!」
『ごめんごめん!
で、ちょっとは落ち着いた?』
俊稀はあたしをベッドへ手招きした。
俊稀の隣に座って、少し身体を俊稀に持たれる…
すると俊稀の右手があたしの頭を優しく撫でてくれた…
冬汰の記憶が薄れていく気がする…
俊稀に塗り替えられてしまう…
『で、何があった?
お前が泣くなんて、珍しすぎ』
「…えっとね」
あたしはゆっくり、俊稀に堤防で冬汰に会ってからのことを全て話した。
悲しそうな顔をすること。
絵が好きって言ってもらえたこと。
一緒にいると苦しいって言われたこと。
そして…冬汰のことが好きかもしれないこと。
俊稀は最後まで、あたしの頭を優しく撫でながら話を聞いてくれた…
冬汰を思うと、また涙が流れてきて…
『大丈夫…気が済むまで泣けばいい。
なんだって、隣に俺が居るからな!』
「もう!ひくっ…ひくっ…」
笑わせないでよ…。
でも、これが俊稀なりの優しさ。
心配かけてごめん…
冬汰はもう帰ったかな…
また体調崩さないかな…
クッキー…渡さなきゃ良かった。
やっぱり、雨は嫌いだ。