たとえ、涙が頬を濡らしても。
ー俊稀 sideー
澪春の口から出た1人の名前…
その冬汰ってやつがさっきから気になって仕方が無い。
澪春は隣でずっと泣いてるし…
泣かせたことにもすっごく腹が立つ。
絵が好き?
そんなの俺だってそうだよ。
でも、それを口にしたのはそいつの方が早かったのは事実に過ぎないか。
堤防…一度行ってみるか。
そいつが居るかなんてわかんねーけど。
『なんで…冬汰ってやつなの?』
「そんなのわかんないよ。
ただ、会ったその日から冬汰の事ばかり考えるようになって…」
『…っ』
気付けば澪春をベッドに押し倒してしまっていた…
当然、澪春はびっくりしていて…
自分がもう分からなくなって、澪春の隣に顔を沈めた…
勢いで襲ってキスなんて出来るわけない。
なぁ…俺にしろよ。
俺に何が足りない?
なぁ…澪春…
ー俊稀 side endー