たとえ、涙が頬を濡らしても。




ー俊稀 sideー


澪春の口から出た1人の名前…


その冬汰ってやつがさっきから気になって仕方が無い。


澪春は隣でずっと泣いてるし…

泣かせたことにもすっごく腹が立つ。


絵が好き?

そんなの俺だってそうだよ。

でも、それを口にしたのはそいつの方が早かったのは事実に過ぎないか。


堤防…一度行ってみるか。


そいつが居るかなんてわかんねーけど。



『なんで…冬汰ってやつなの?』


「そんなのわかんないよ。
ただ、会ったその日から冬汰の事ばかり考えるようになって…」


『…っ』



気付けば澪春をベッドに押し倒してしまっていた…


当然、澪春はびっくりしていて…


自分がもう分からなくなって、澪春の隣に顔を沈めた…


勢いで襲ってキスなんて出来るわけない。


なぁ…俺にしろよ。


俺に何が足りない?


なぁ…澪春…




ー俊稀 side endー





< 46 / 241 >

この作品をシェア

pagetop