セカンド・ラブをあなたと
「私が生んだ子でなくても望をうけいれてくれる?」
「当たり前だ。血がつながってなくても、鈴音ちゃんの子だよ」
「戸籍上は望は私の子じゃないって話、したよね?」
「うん」
「望を引き取るときに、急いで入籍したの。望を迎え入れる戸籍に両親がいるほうがいいだろうって。
でも、彼が亡くなったときに望は千絵さんの養子になったの」
翔さんは「そうか」とだけ言った。
「二十歳の私に養子はどうなんだろうって思ったみたい。29歳になって覚悟があったら私の戸籍に入れていいって言われてる」
「分かる気もするけど」
「これから就職しようっていう私が不利にならないよう、3人で考えたの。シングルマザーの就職なんてなかなか思うようにはいかないもの。
最初はね、信用されてないって悲しくなった。
でも、29歳って指定した理由を思うと、どうでもよくなった。28歳で亡くなったから、自分より大人になったら決めていいって思ったんだと思う。どんな気持ちでいたのか、想像するとたまらなくなる。
入籍して、望と暮らしだした頃は病気に気づいてなかった。2か月くらいしてからガンがわかって…望も赤ちゃんだったし、毎日があっという間だった」
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