君を愛していいのは俺だけ
後片付けをしながら、長崎の夜を思い出す。
今夜、陽太くんと話せるなら、出張の思い出話をして、一緒にお酒を飲みたいな。
今なにをしているか聞きたくても、携帯に登録してあるのは過去の連絡先。
別れてから、ずっと登録し続けてきた繋がらない番号だ。
洗い物を済ませ、携帯を持ってベッドに座った。
【仁香ちゃん、今日はごめんね。また飲もうね】と桃子ちゃんからメッセージが届いていて、【滝澤さんのことは秘密にしておくね。気を付けて帰ってね】と返した。
そのまま、ずっと保存している陽太くんとのやりとりを眺める。
付き合っていた頃、【仁香に会いたい】とか【風邪治った? 元気になったら、仁香の行きたいところに連れていってあげる】とか……たくさんやりとりしたメールは、機種変更するたびに転送してきた。
当時の写真も、データ保存して取ってある。
今よりも少し若く見える彼は、やっぱり長崎で見た屈託のない笑顔を見せていて。
懐かしいと言ってくれたあの時、彼も付き合っていた頃の私を思い出していたのかなと思った。