君を愛していいのは俺だけ

「そんな困らなくてもいいよ。うちは社内恋愛に寛容だからって言いたかっただけ」
「あ、そうなんですね。びっくりしました」

 一瞬でも、陽太くんが妬いてくれたのかな……なんて思いが過ったけれど、そんなことがあるはずはない。

 彼がとてもフランクだから距離感にドキドキさせられることがあっても、きっと私だけだし。


「じゃあ、引き続きよろしくね」
「かしこまりました」

 先に席を立った彼を見送ってから、私も会議室を後にした。



 自席に戻ると、滝澤さんが客先と電話で話していた。
 確かに、彼は人気がある。桃子ちゃんもライバルが多いのが悩みだと言っていたけれど、もしかしたらSUNRISERの人気を陽太くんと二分するかもしれない。

 私も他の業務に取り掛かり、定時を一時間過ぎて退社した。


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