君を愛していいのは俺だけ

「あれは、結構気にかけてるって感じだったと思うけど」

 私の気持ちを知る同期で集まって、近くのイタリアンでランチを取っている。
 四日前の打ち合わせの時の様子を振り返った滝澤さんが、包み隠さずそんなことを言ったから、私はラザニアを食べる手を止めた。


「なにを根拠にそんなことを」
「社長が秋吉さんを見てる回数とか?」
「仁香ちゃん、告っちゃえば?」
「えぇっ!?」

 桃子ちゃんにまで言われて、さらに動揺する。
 美歩にも似たようなことを言われたことがあったけど、告白なんてできるはずがない。


 もしフラれたら、次の日からどんな顔をして働いたらいいの?
 七年もの間、ずっと想ってたなんて聞いて、喜んでくれるとも限らないし……。

 同じことを何度も考えて悩んでを繰り返したって、前に進まないのは分かってるけれど、今の私は連絡先を交換して、時々社内で顔を合わせたり、打ち合わせに同席するだけでも満足はしていて。
 ずっと片想いでいたくはないけど、片想いに終止符を打つのも嫌だなんて、ワガママなのかな。


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