君を愛していいのは俺だけ
「佐久間さん、来れなくなっちゃったんですか?」
「いや……」
言葉を濁したところで、ちょうど予約していた店に到着したらしく、彼がドアを開けてくれた。
「予約していた周防です」
「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
木目調の店内を進むと、真っ白なテーブルクロスが敷かれたいくつかのテーブルと、ステンレスで統一された厨房が見える。
テーブルがスポットライトで照らされている雰囲気のある空間に、私の緊張は高まっていくばかり。
デートみたいなものだなんて言われたら、ずっと守ってきた想いに火を点けられてしまって、とても彼をまっすぐ見れそうにない。
七年も想い続けてきたのは、私だけだって分かってる。
それに今、日々笑って過ごしていられるのは再会できたからであって。
もし、今も彼に会えずにいたら、まだ片想いを続けていたのかな……。