君を愛していいのは俺だけ

「綺麗……」
「そうだなぁ。こういうのをゆっくり見て歩くのも悪くないね」

 長身から私を見下ろして微笑む彼に、ドキッとした。
 イルミネーションのシャンパンゴールドを背負い、煌めいている彼が眩しい。

 ずっと焦がれていた気持ちが今にも溢れてしまいそうで、口角を上げて感情を微笑みに乗せた。


「でも、私じゃなくてもっと綺麗でかわいい人と見たかったですよね?」
「そんなことないよ」
「だって、デートで来るところって感じがするし……」

 彼は、私に気を使って言ってくれたけど、周りは恋人同士の姿が目立つ。金曜の夜だからなおさらだ。


「いいんじゃない? デートでも」
「えっ!?」

 驚いて足を止めた私に振り返った彼は、端整な顔に笑みを浮かべていて。


「佐久間は来ないから、デートみたいなものだよ」

 そう言うと、彼はイルミネーションで輝く街に吸い込まれるように歩きだし、私も慌てて追いかけた。


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