君を愛していいのは俺だけ

 だけど、彼が連れてきてくれたのは、見事な眺望が広がり、東京タワーやスカイツリー、富士山まで一望できる高層階のレストランで。


「緊張しなくていいって言われても、こんな素敵なお店にはあまり来たことがないから……」
「そうなの? 誰かに連れてこられたりしてるものだと思っていたけど」
「ないです」

 余程意外だったのか、彼はメニューを手にしたまま私を見つめている。


「なに?」
「……いや、なんでもないよ。ランチコースにしようか」
「うん」

 ランチメニューは、シェフお任せの前菜盛り合わせとフレッシュサラダ、季節のポタージュと名物のロティサリーチキン。食べきれなさそうだったから、ハーフサイズに変更してもらった。


「陽太くんは、こういうお店によく来るんでしょ?」
「来ないよ」
「本当のことを言って」
「……必要があれば、行くこともあるけどね。女の子を連れてきたのは久々じゃないかな」

 自分から聞いたものの、やっぱりあれから他の人とデートをしたりしたと聞かされて、嫉妬めいた気持ちになった。


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