君を愛していいのは俺だけ
七年もあれば、恋愛のひとつやふたつはあって当たり前だろう。
それに、陽太くんほどの容姿があれば無条件で女性が言い寄ってきそうなものだし……。
飲み物が運ばれてきてから、まもなく食事も順にテーブルに並び、開放的な眺望も一緒に楽しみながら食事に手をつけていく。
人気店らしく、すぐに満席になった店内はカップルの姿が多く見受けられる。
「仁香はどんなデートが好きなの?」
「……好きな人と楽しく過ごせれば、どこでなにをしてもいいかなって思ってますけど」
「じゃあ、今までで一番思い出に残ってるデートは?」
聞かれても、七年前に陽太くんと過ごした毎日と、この前の表参道のお店と……それくらいしか浮かばなくて。
「陽太くんがこの前連れていってくれた表参道のお店で、久々にたくさん話したことかな」
正直に答えただけなのに、彼は顔を綻ばせた。