君を愛していいのは俺だけ

 今の彼は、私が知っていた彼とは比較できないほどの生活をしている。
 住まいも車も、纏っている仕立てのいい服も小物だって、どれをとっても上品で洗練されたものばかりだし、ことあるごとに表情や仕草に色気を感じさせられる。
 やっぱり七年の空白は大きいなぁ……せっかく彼が一カ月の猶予をくれたんだし、こうして恋人同士のような時間も過ごせているのなら、もっと積極的に彼を知ろうと前のめりになる。


「陽太くん」
「なに?」
「もっと今までのことを教えて」
「喜んで。なんでも聞いてよ」

 私が興味を持っていることが嬉しいのか、彼はパッと晴れやかな笑みを見せた。


「じゃあ……あれから何人くらい彼女がいたの?」
「いきなりその話題から? ふたりだよ。仁香は?」
「…………」

 逆に聞き返されることを考えていなかった私は、事実を告げる勇気を振り絞れず、戸惑いを隠すためにミルクティーを飲む。


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