君を愛していいのは俺だけ

 こんなところで手を繋がれると、もっと痩せておけばよかったとか、身に着けている下着もおかしくなかったよね……なんて、今さらながら考えてしまう。


「周防様、お待ち申し上げておりました」

 だけど、彼が立ち止まったのはリストランテの前。

 顔を見ただけで彼と分かったようで、店員が出迎えた。
 コートを受付で預けてから店内を進み、案内された席で向かい合って座ると、日本庭園が一望できてとても厳かな雰囲気にのまれてしまいそうになる。
 

「ここは、時々贅沢をするために来てるところだよ。女性を連れてきたのは初めてだから」
「……本当に?」
「うん。仁香だけ特別」

 店員に注文を済ませ、すぐに飲み物が出てきた。私も彼に合わせてペリエをひと口飲む。


「陽太くん、クリスマスデートしたことある?」
「あるよ」
「……そっか、そうだよね」

 デートコースも決めていてくれたのは嬉しいけど、今までの女性にも同じようにしていたのかな……なんて、つい妬いてしまいそうだ。
 過去を気にしたところで、彼以外の人に見向きしなかったのは、私の勝手なのに。


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