君を愛していいのは俺だけ
――クリスマスが明け、仕事納めをして、正月は実家に帰省した。
「明けましておめでとう」
「おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」
約一週間ぶりに顔を合わせた陽太くんも、年末年始は実家に帰省すると言っていたけれど、連絡を取り合っていたから久しぶりに会う感覚は薄い。
彼は各部署を回って、仕事の合間に挨拶を済ませている。
先輩に聞いたところによると、新年会で予定を合わせるのも大変だし、参加できなかった社員が要らぬ気遣いをするのも望まず、結果的に彼が顔を出すようになったそうだ。
「秋吉さん、ちょっといい?」
「はい。なんでしょうか?」
「年明け前に話してた企画の件で」
「今行きます」
彼がMDのフロアを出て行く。
私もデスクの傍らに置いていた手帳とペン、携帯を持って後を追った。