君を愛していいのは俺だけ

「俺は、なんでも言えるような関係になりたいと思ってるんだよ」
「うん……」
「だから、ちゃんと話して」

　私が後ろめたいことを抱えていると思っているのかな……。


「なにもないよ。陽太くんが気にするようなことは、なにひとつないの」
「そんなはずないだろ？　再会してから、日を追うごとにだんだん目を合わせてくれなくなってきてる気がするんだから」

　事実を話しても、彼は納得してくれない。
　それに、私も彼と見つめ合えなくなった理由がある。

　ただ、それを言う勇気が持てなかっただけ。


「仁香、おしえて」
「うん……」

　これから言うことを、彼はどんな想いで受け止めてくれるだろう。

　考えても彼の心の中までは目に見えず、私は意を決して顔を上げた。