君を愛していいのは俺だけ
「仁香、好きだよ」
「……うん」
返事をしたらきつく抱きしめられ、彼の胸板に直に頬が触れた。
彼の匂いと、手や唇とは違う温もりに胸の奥が締め付けられる。
「どうして、俺を見れなくなったの?」
「…………」
そんなことを聞かれても、答えがありすぎてひと言には纏められない。
再会した時の驚きも、未だに新鮮に思い出せる。
こうしてまた恋人になれた嬉しさは、毎日のように噛みしめていて。
今の陽太くんがあまりにも色っぽいから、ことあるごとに困ってしまって……。
「言えないの?」
答えずにいたら上体を起こされ、真正面から見つめてくる視線に言葉が詰まる。