君を愛していいのは俺だけ
みんなでお店を出て、二次会に行く仲間と歩き出す。
もう会えなくなるわけじゃないのに、どうしてこんなに感傷的な気分なのか考えていたけれど、それだけMDで過ごした日々が特別なものだったからだろうなぁ。
「秋吉さん、カラオケ好き?」
「好きですよ。あまり上手じゃないですけど……」
前を行く先輩に話しかけられて答えた後、突然視界がぐらりと大きく揺れた。
「秋吉さん!?」
「大丈夫? おい!」
みんなの声が聞こえる。
大丈夫って言いたいのに、声が出なくて、身体が熱くて――。
ふと目覚めたのは、額に冷たさを感じたからだった。
「大丈夫?」
「滝澤さん……ごめんなさい」
「謝らなくていいから。つらいなら病院に連れて行くけど、どう?」
私はベッドから上体を起こし、大丈夫と彼に告げた。