君を愛していいのは俺だけ

 どうやら、滝澤さんが自宅まで送ってくれて、バッグから鍵を出して運んでくれたらしい。
 迷惑をかけたことを謝り、本当に大丈夫だからと彼を帰した。

 やっぱり顔を出すくらいにして帰っておけばよかったな……。
 桃子ちゃんにもあとで謝っておかなくちゃ。


 熱でぼーっとする頭を働かせていたらバッグの中で携帯が鳴り、ベッドから下りた。
 フローリングを這って歩き、その表示を見てハッと思いだしたのは、陽太くんのことだ。


「……もしもし」
《もしもしじゃなくて、どこにいるの?》

 時計を見ると、二十二時過ぎ。
 今夜、彼の家に泊まりに行く予定だったから、二次会に行く時は連絡を入れる約束をしていた。


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