君を愛していいのは俺だけ

「仁香、もう終わりにしよう」

 予感していたその言葉が突きつけられて、大粒の涙がとめどなく溢れてくる。
 呼吸すらままならなくて、まるでこの世界が終わってしまうような絶望すら感じて――。


「っ!!」

 不意を突いて顎先を持ち上げられ、泣き顔を真正面から見つめられた。


「もう、終わり」

 見つめ合うのがこんなにつらいなんて、知りたくなかった。
 こんなことになるなら、もっと彼の瞳を見ていたかった。


 どうしたら……戻れるの?
 再会したのが遅すぎたの?

 こうなるのが決まっていたかのようで、この恋の寿命を感じて――。


「仁香が泣くようなことは、もう終わり。ほら、笑って」

 唇を奪われても、いったい何が起きているのか分からないほど、心も頭も混乱する。
 泣くなと言われても、涙が止まらなくて。

 キスをした彼があまりにも綺麗に微笑むから、溢れる切なさで涙が止まらなくなった。


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