君を愛していいのは俺だけ
「周防さま、お連れ様が到着されました」
「ありがとうございます」
席に案内されると、いるはずの女性の姿がない。
「どうぞ座って」
「うん……」
ここに私が座っていいのかと戸惑いつつ、言われたとおりに腰を下ろした。
「素敵なお召し物ですね。よくお似合いです」
「っ……」
「なにかお飲み物を頼んでください」
いつになく他人行儀な彼の言動に、鼓動が急く。
それに、よそいきのスーツ姿の彼は、誰よりも素敵で……。
「アイスミルクティーをいただきます」
「好きだね、本当」
「……陽太くんも紅茶でしょ?」
「まぁね」
いつもの私たちと変わらないはずなのに、再会したあの日と同じことを言う彼も、私がここにいるのも不思議でならない。