君を愛していいのは俺だけ
「お先に」
「滝澤さん、今日は早いですね」
「これから、客先と飲むことになっちゃって……と言っても、大学の同期が相手なんだけどね」
歓迎会を終えてから、滝澤さんとも砕けて話せるようになった。
同期とはいえ、やっぱり年上だと気を使っていたなぁと、短い期間ではあるけれど実感する。
「気を付けて行ってきてくださいね」
「ありがとう。それじゃ、また明日」
「お疲れ様でした」
十八時になって、仕事を滞りなく終えた。
帰ってもいいのに、帰れない。
周防社長からの返信を待ってしまう。
あと五分だけ待っていたら、とか。
もう一回メールを確認していたら、とか。
明日でも明後日でもいいのに、強く決意したからか、どうしても今日話したくて。