君を愛していいのは俺だけ

 十八時十五分。
 明日でも間に合う仕事に手を付けた。

 先輩にも「明日でも大丈夫だよ」って言われたけれど、「気になっちゃって」と肩を竦めて答える。
 本当に気になっているのは、社長のことだ。
 彼からの返事が欲しいがために、残っているなんていいことではないだろうけど……。


 十八時半になったら、退社しようと決めた。
 このまま待っていたら、いつまでも帰れなくなりそうだからだ。


 十八時二十一分。
 周りの先輩方も徐々に帰宅の準備を始めていて、残りにくくなってきた。
 予定していた時間よりも少し早いけれど、最後の一回と決めて、メールの送受信アイコンをクリックしてみた。


 受信メールのフォルダに、新着のカウントが入る。

 五件も届いていて、期待してしまう。

 三通は、送っておいた取引先からの返信だ。


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