君を愛していいのは俺だけ


 ――気が重い。

 あれから、滝澤さんに歓迎会の日になにがあったのかを聞いたけれど、『秋吉さんは酔ってたから、なにを言ってもきっと覚えてないでしょ』とはぐらかされ、出張の日が近付くにつれて周防会の先輩方の視線は圧を増した。

 本当に、酔った私が陽太くんに抱きついてしまったのだとしたら、この出張の間に謝らなくちゃ。
 でもなんて言ったらいいんだろう。
 あれは酔った勢いで……なんて言ったら、お酒を飲んだら豹変する軽い女だと思われそうだし、そもそも酔ったのは陽太くんのせいでもあって。



「おはよう、秋吉さん」
「おはようございます……」

 羽田空港の出発ロビーに、集合時間の十分前に到着すると、陽太くんと佐久間さんが既に来ていた。
 佐久間さんは、専門学校の引率教員と連絡を取っているようで、少し離れたところにいる。


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