君を愛していいのは俺だけ
「長崎、行ったことある?」
「ありません。九州に行ったことがないんです」
「いいところだよ。食事も美味しいし、人も親切だしね。帰りの日程を変更して、福岡に寄るのもいいと思わない?」
「えっ!?」
……陽太くんとふたりで別行動を取るってこと?
突然の提案になんて答えるべきかとあわあわしていると、彼がふっと笑みを浮かべた。
「実際には行かないからな。そういう日程もいいよねっていう話。現実的に考えて、俺たちだけ別行動なんてできるわけないだろ」
「そ、そうですよね。びっくりした……」
ホッと胸を撫で下ろしていると、佐久間さんがこちらにやってきた。
「先方も予定通りの出発ができそうだと連絡が取れました。あと四十五分は時間が空いていますから、軽食でも取りましょう」
墨田さんも到着し、九時前の空港を歩く。
いつもはカジュアルな服装でいる分、今日のスーツ姿は格段に素敵で、彼の背中に見惚れてしまった。