君を愛していいのは俺だけ
社長はバスの中で話してくれたけど、歓迎会の一件を思い出すと気が重くなる。
きっと彼は、七年ぶりに再会した私に幻滅したはず。
私のことを想ってくれている可能性は限りなく低いのに、好印象を残せていない気がする。
美歩には『長期戦』って言われたけど、それは恋愛対象に入ってからの話であって、今はまだ“ただの元カノ兼社員”でしかなさそうだ。
二十分もかからずにタクシーが停まり、小料理屋のような建物に社長が入っていく。
予約を入れていたようで、佐久間さんが店員に社名を告げると、すぐに席へ案内された。
メニューには【おまかせコース】のみ記載されていて、どんな食事が出てくるのか楽しみだ。