君を愛していいのは俺だけ

「秋吉さんも、あまり気にしなくていいよ。お酒は楽しく飲まないとね」
「……ありがとうございます」

 やっぱり陽太くんは優しい。社長として場を収めてくれたのだとしても、悩んでいた分救われる。
 彼の変わらない一面も知れて、ちょっとホッとした。

 冷たく感じたのは、私が思い出を美化していただけなのかな。
 それに、彼は会わない間に社長になったのだから、違和感を感じたって当然だとも思える。


 食事をしながら、今日の縫製工場でのことや、今後の展開について話す彼の真剣なまなざしに釘付けになった。
 社長室で勤務している佐久間さんは本当に仕事ができる人で、社長の言っていることが難しくても、余裕で意見を交わしている。

 やっぱりセキュリティー万全のあのフロアには、SUNRISERの精鋭ばかりが集まっているのだろう。


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