君を愛していいのは俺だけ
「変わんないな」
「……なにがですか?」
「すっぴん」
「っ!!」
突然の来訪に驚いてすっかり忘れていた。
普段はメイクをしているから、なんとか見せられる十人並みの容姿が恥ずかしくて、迷うことなく両手で顔を覆う。
ただでさえ歓迎会の一件で幻滅されたかもしれないのに、すっぴんまで見られるなんて。
「隠したって、意味ないだろ」
指の隙間からそっと彼を見ると、再会して以来初めて見る屈託ない笑顔で……。
「……よ、社長も変わってないですね」
危うく“陽太くん”と呼びそうになったけど上手くごまかした。
「ごまかし下手なのも相変わらず」
プッと吹きだした彼は、缶ビールを片手にベッドに腰かけると、隣を手で叩いて私に座るように促した。