イジワル騎士団長の傲慢な求愛
そのとき。

「シャンテル様、そろそろ時間です」

部屋にやってきた使いの者が、運命の刻の訪れを告げる。

「ルーファスは、あなたを待っていますよ」

ルシウスの涼やかな声が、セシルの背中を押す。
涙を拭いたシャンテルが、隣に回り込み腕を絡めた。

「……屋敷で待っているお父様の代わりに、私がちゃんとあなたをルーファス様のもとまでエスコートしなくちゃね」

「待って……私……こんなことして本当に――」

――いいのだろうか。自分のわがままを貫き通すような真似をして、許してもらえるだろうか、神様からも、ルーファスからも。

「大丈夫よ。さぁ、行きましょう」

「胸を張ってください。今日のあなたは、世界で一番美しい」

ふたりに引き導かれて、セシルは控室のあった塔を出る。長い石畳の道をシャンテルとともにゆっくりと歩み、大聖堂の扉の前へとやってきた。
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