イジワル騎士団長の傲慢な求愛
意識を失うように深い眠りに落ちてしまった。
夢の中を漂うような、ふんわりとした優しい温もり。
明け方の柔らかい乳白色が窓から差し込んできて目を覚ましたセシルは、隣に眠るルーファスを見て幸せと安堵に包まれた。

普段はみられない彼のあどけない寝顔を眺めながら、こんな贅沢な朝を迎えるのは生まれて初めてだといまだ夢見心地だ。
体をわずかに動かすと、隣で眠っていたルーファスが目を覚まし、まだ少しぼんやりとした顔でセシルを覗き込んできた。

「……大丈夫か。身体は……」

「ええ。どうして?」

「……無理をさせすぎた。すまない」

「そんなことない。あなたはとても優しくしてくれた……」

今、こうして心配してくれていることが、彼の優しさの証だ。
抱いてくれているときも、初めてのセシルが痛い思いをしないように、最大限愛を注いでくれていた。
結局、自分は戸惑うばかりでなにもしてあげられなかったけれど、どうか彼が満足してくれてますようにとセシルは願った。

「私たち、ちゃんと夫婦になれた?」

「なにを言ってるんだ」

ルーファスが呆れたように微笑んで、セシルの唇を塞ぐ。
昨晩の熱い感覚が、その唇の触れた一瞬に舞い降りてくる。

「神の前で愛を誓った瞬間から、俺たちは夫婦だ。誓いの言葉を覚えているか?」

こくりと頷いたセシルは、その奇跡のようなフレーズをもう一度音にする。

「いかなるときも変わることなく――」

「命ある限り、愛を尽くす――」
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