【完】溺愛飛散注意報-貴方に溺れたい-
キスの余韻に浸りきっていると、せんぱいは優しく私の髪や頬を撫でて…溢れた涙の分、愛しさでいっぱいにしてくれた。
せんぱいの傍は、隣は、何処よりも心地好い。
出逢う前まで熱愛していたKAZUの瞳の中のように…それ以上に。
そう言えば、最近…バンド活動ちゃんとチェックしてなかったな…。
そんな風に考え込んでいたら、不意打ちで首元にキスを落とされた。
「んっ。せんぱ…っ」
「俺の傍にいるってぇのに、他のこと考えてんじゃねぇよ。マーキングすんぞ」
「んっ。ま、って…せんぱい…」
それは、違うと説明しようとするも、せんぱいは私の首筋に嫉妬するくらい綺麗な口唇を這わす。
ぞくぞくする感覚に、酔いしれそうになるけれど、私はせんぱいの肩の辺りをとんとんと叩いて抗議した。
「…くそ。お前…どこでそんな技覚えてきやがった?」
「え…?」
「…可愛過ぎんだろ」
掠れた小さな声。
私の胸がきゅんと高鳴る。
でも、それ以上に……愛しい。
「せんぱい…好き」
「…んなこた知ってる。未麻は俺のもんだからな」
そう言うと、せんぱいは私の手をゆっくりと、まるで硝子を扱うようにして引き寄せて、抱き締めるような形で椅子から立たせてくれた。
痣になった手首には触れないように、慎重に…。
あぁ、こういうせんぱいの優しさの1つ1つが、どうしようもないくらい好きで…私はそれだけで満たされるんだな…そう、改めて思う。