【完】溺愛飛散注意報-貴方に溺れたい-
開演には全然早いけど。
いわゆる「入り待ち」をする為に、私は物凄く急いでる。
なのに、…現実はなかなか上手くいってはくれない。
滅茶苦茶急いで着替えをしてライヴハウスへ向かったのに…。
「なんで、こんなに人が多いの…」
やっぱり、予想はついていたけれど、それを目の当たりにするとかなりダメージがある。
既に楽屋に通じる通路には人だかりが出来ていて、私の入る隙間なんてなかった。
なんで、こんなに遠いんだろ。
少し前までは、触れ合えるほど近い存在だったのに…。
ファンの一人だけど、顔を覚えて貰っていると自惚れてしまうくらい、近い距離にいたはずだったのに。
この黒山の人だかりに、深い溜息が出てしまう。
KAZUに逢いたい。
その気持ちが段々萎んできそうになった時。
通路の前方の方で、キャーという悲鳴が聞こえた。
え、ちょっと待って!
そう思って身を乗り出したら、熱気で揺れていた人だかりの波に揉まれバランスを崩してしまう。
「うわ…っ」
前のめりになって、爪先立ちになり高めのヒールを履いていた私はそのまま倒れ込みそうになる。
いわゆる「入り待ち」をする為に、私は物凄く急いでる。
なのに、…現実はなかなか上手くいってはくれない。
滅茶苦茶急いで着替えをしてライヴハウスへ向かったのに…。
「なんで、こんなに人が多いの…」
やっぱり、予想はついていたけれど、それを目の当たりにするとかなりダメージがある。
既に楽屋に通じる通路には人だかりが出来ていて、私の入る隙間なんてなかった。
なんで、こんなに遠いんだろ。
少し前までは、触れ合えるほど近い存在だったのに…。
ファンの一人だけど、顔を覚えて貰っていると自惚れてしまうくらい、近い距離にいたはずだったのに。
この黒山の人だかりに、深い溜息が出てしまう。
KAZUに逢いたい。
その気持ちが段々萎んできそうになった時。
通路の前方の方で、キャーという悲鳴が聞こえた。
え、ちょっと待って!
そう思って身を乗り出したら、熱気で揺れていた人だかりの波に揉まれバランスを崩してしまう。
「うわ…っ」
前のめりになって、爪先立ちになり高めのヒールを履いていた私はそのまま倒れ込みそうになる。