【完】溺愛飛散注意報-貴方に溺れたい-
ずるいずるいずるい。
そう思ってしまう。
誰よりも強くて優しくて…そして、どんな人よりも素敵な人。
あの日、窓越しにばちん、と合ってしまった視線で、私はもうとっくの昔にせんぱいへと堕ちてしまってたんだ。
それを知ってて、せんぱいは私をぐずぐずに甘やかしてくれる。
「はぁ…」
「未麻!そんな、ピンク色の溜息吐いてんじゃないわよー!」
「わっ…ま、円香?!」
「円香?!じゃないわよ、人が何度も呼んでるのにちっとも気付かなくて!」
「ご、ごめん…」
「くす…うーそ。薫せんぱいのあんな顔見ちゃったら、そんな溜息も出ちゃうわよねぇー」
「まどかー?」
「はいはい、ごめんなさーい。…でさ」
「んー?」
私は、黒板にでかでかと「実習!」と書かれているのを見て、明日ある小テストの勉強をしようと机からテキストを出しながら、円香の声に耳を傾けた。