【完】溺愛飛散注意報-貴方に溺れたい-
私は、何を求めているんだろう?
この胸の中にざわめく、不安にも似た衝動を、ぽっかりと空いた穴を、誰か静めて埋めていってよ…。
その間も、教室の外では、中山先生が五人にこんこんとお説教をしていた。
さっさと教室入れって言ったの、先生の方なのにな…。
視線を窓の外に投げたままそう思っていると、五人の内の一人がスッと私の方へ顔を上げてきた。
やば…。
そう思ったのはもう遅かった。
ばちんと合ってしまった視線はどうやっても外せない。
でも、その視線は射抜くような強さは全くなくて…拍子抜けするくらい穏やかなものだった。