【完】溺愛飛散注意報-貴方に溺れたい-
校内を揺るがすようなケンカ事件が勃発してから、全体がピリピリとしていた。
先生達は、薫せんぱい達のことをまるで監視するようにしていたし、生徒も何処かそわそわとして落ち着かない。
「なぁ、寺門せんぱいって、やっぱ強いんだろー?」
「強いどころじゃねぇよ。俺見たもん。相手なんか目じゃねぇって感じでさ、ボコボコにしてた」
「マジか…つか……」
そこから、声のトーンが一気に下がる。
「よく、前原、付き合えるよな…あんな奴と」
「シッ。お前そういう事言ってっと、せんぱいに告げ口されて殴られるかもしれねーよ?」
そんな小声にした会話も、私には筒抜けだ。