【完】溺愛飛散注意報-貴方に溺れたい-


はぁ…と1つ心の中で溜息を吐く。

せんぱいは、そんなことぐらいじゃ怒らないのに。
こんな風に、人から誤解を受けることが、堪らなく苦しい。

私が、何かを言われることは全然構わない。
だけど…。


「寺門せんぱい、やっぱ外見からして怖いもんな」

「な、俺もそう思うわー…」


どこが?

そんな風に口に出しそうになって、私はぐっと口唇を噛み締めた。


今は、何事も我慢だ。
それは、他の誰でもない、せんぱいの為。


あんな風に傷付いたせんぱいは、二度と見たくない。

なんで、…なんでせんぱいはこんな私の為に、自分を敢えて悪者にしようとするのか…。

だって、あのケンカだって、元を返せば私の為だと心当たりがあるわけで…。

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