【完】溺愛飛散注意報-貴方に溺れたい-
「てめぇ!ふざけんな!!」
いつの間に此方に近寄ってきたのか、せんぱいが男のことを殴り付けていた。
「未麻!?」
「薫!」
それに合わせたかのように、円香が由井せんぱい達を連れてやって来る。
その後は、もう、なし崩しのように大きな喧嘩が展開していった。
私は、何も出来ない自分が歯痒くて、泣きそうになる。
気付けば、ぼろっと涙が出てきてしまっていて。
それを見過ごさなかったせんぱいが、聞いたこともないドスの聞いた声で、
「てめぇら、俺の女に手ぇ出した落とし前、きっちり付けてもらうからな…」
と、言った。
結局、由井せんぱい達の加勢のお陰のあり、ものの数分で、こちらの圧勝となり、その後駆け付けてきた先生達に、生徒会執行部委員に所属している円香が、ことの経緯を説明して、せんぱい達の処罰については無罪放免されることになった。
私は、1人、その状況をどこか傍観者として見つめていた。
ただ、きつく拘束された手首が痛い。
そして…傷付いたせんぱいを見たことのショックで、言葉が発せられくなっていた。
身体は小刻みに震え…意図しない涙が溢れていく。