再会の街
 切れた息を整えて、それだけを告げる。

 そのままずるずると、その場にしゃがみ込みそうになる。


「おいおい。大丈夫か?」


 腕を掴まれて、体を引き上げられる。


「大丈夫じゃ、ないよ。ここに着くまで、ずっと走り通しなんだから。出かけにセールスの電話は掛かってくるし、曲がり角で人にはぶつかるし」

「遅刻はするし?」

「もう、しょうがないでしょ。ちゃんと理由があって遅れたんだから」

「それは、お前がもっと早く家を出れば、解決することじゃないのか?」

「ぎくっ」


 そんな追い討ちを掛けなくたっていいじゃないかと思うが、口に出しては言わない。


「これで、お昼御飯はお前のおごりだな」

「えーっ」

「たまには、いいだろう?」

「もう。今日はたまたま私の方が、遅くなっただけなんだからね」


 切符売り場へと向かう途中で、バックをあさってふと気づく。


「おい、どうした?」


 何かが足りない。
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