過保護なドクターととろ甘同居
答えたと同時、先生がいきなり席を立ち上がった。
急な動きに驚いた私を見下ろし、「ちょっと待ってろ」とその場を離れていく。
キッチンの向こうにある扉を出ていく白衣の後ろ姿を見送ると、階段を下りていく足音が遠ざかっていった。
何分もしないうちに、今度は階段を上がってくる足音が聞こえてくる。
白衣のポケットに手を突っ込んで戻ってきた先生は、私へ小さな細長い箱を差し出した。
「えっ……」
そこに見た物に、思わず目を見開いて先生の顔を見上げていた。
「先生……あの、これ……」
驚きの眼差しを受け、先生は悪戯に口角を吊り上げる。
「知り合いのドクターが監修したっていうサンプルをもらってたから、試しに使ってみてくれ」
「え……え?!」
何ともなさそうに手渡されてしまったけど、手にした箱には“妊娠検査薬”の文字。
まさかという思いで呆然としてしまう。
箱を手にしたまま動かない私の腕を掴み立ち上がらせ、先生は肩を抱いて廊下へと連れ出した。