過保護なドクターととろ甘同居
「……寝ましたか?」
キッチンの片付けを終えてもまだ先生が戻ってくる気配がなく、静かに陽美の部屋へと近付くと、開いたドアから先生が足音を消して出てくるところだった。
立てた人差し指を唇に当てた先生は、慎重に明かりの消えた部屋のドアを閉める。
「寝かしつけ、ありがとうございます」
私の前まで来た先生は、ぽんと頭の上に手を載せ「今日もお疲れ様」と労いの言葉を掛けてくれた。
「明日、ちゃんとできるのかな、リングガール……」
「どうして?」
二人きりになったリビングに戻り、どこか残る不安を口にする。
「あの調子じゃ、ママがリングガールやってとか、言われちゃいそう」
わざと拗ねたような口調で言ってみると、先生は「まさか」と何ともなさそうに笑ってみせた。