過保護なドクターととろ甘同居


少しさみしいと思った気持ちを敢えて口にしてみたのに、笑い飛ばされてしまって切なさが募る。


「陽美に稜さん……取られちゃいそうです」


言ってから即、こんなこと間違っても言ってはいけないと思った。

それなのに、するっとつい出てきてしまった母親失格の言葉。

自分で言っておいて、その言葉が自己嫌悪となって跳ね返ってくる。


合わせる顔がないと思った矢先、先生の手が私の腕を掴んでいた。


「ごめんなさい、私――」

「ごめん」


私の声を遮った先生の手が、そのまま私を抱きすくめる。

なぜ先生が謝るのだろうと訳がわからなくなって、胸の辺りが圧迫されたように苦しくなっていた。

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