過保護なドクターととろ甘同居
「ストレスは溜めない方がいい。人に話すのも、少しは解消になる」
自分の掛ける隣を軽く手で叩き、横に座れの合図を出す。
どうやら、先生は私の話を聞く気らしい。
今日は眼鏡をしていない先生の切れ長の目が、じっと私の目を見つめる。
何だか急に申し訳なくなって、「いえいえ!」と、顔の前で両手をぶんぶんと振っていた。
「そんな、私の話なんか先生にするのは」
腰を浮かせた先生の手が、宙に変に置き去りになった私の腕を掴む。
え、え、と思っているうちに、引っ張られた体はベンチに座らされていた。
「あの、何から話せばいいのか、わからないというか、えっと……」
「……長くなりそうだな」
「えっ、あ、そういう意味では」
掛けたばかりのベンチから、先生はいきなり立ち上がる。
何事かと見上げれば、「やっぱり、気が変わった」と呟いた。