過保護なドクターととろ甘同居


色鮮やかな野菜のテリーヌから始まったコース料理は、どれも私の日常には無縁のオシャレで絶品のものばかりだった。

メインには、ローストビーフの載った豪華なプレートが運ばれてくる。

終始緊張の中、先生に習って食事を進めてきた。

おかげで、恥ずかしいミスはやらかさずに済んでいるけど、気持ちに余裕がないせいか、せっかくの料理を百パーセント堪能することはできていない。

というのも、自分の余裕の無さを誤魔化すように、私は食事が始まってから話すことに尽力している。

ストレスを溜め込まないようにと話す場を設けてくれた先生は、前菜が届いたあたりに「早速、話を聞こうか」と本題を切り出してくれた。


「なんか、すみません。素敵な食事のお供に、こんな、私の処理に困る話なんて聞かせてしまって……」


病院での診察後から、俊くんが帰らなくなったこと。

お別れをすることを決めた経緯。

そして、新たな生活をする様々な不安。

先生は時折質問をしつつも、基本相槌を打ちながら聞き手に徹してくれていた。

散々話しておいて、一通りの内容を話し終えると、何だか申し訳ない気持ちが押し寄せてくる。

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