過保護なドクターととろ甘同居


診療室に下りると、先生は一人、受付けの内側で患者さんのカルテを手に眺めていた。


「すみません、お待たせしました。よろしくお願いします」

「受付けといっても、そんなに難しいことはない。来院した患者の応対と、会計、次回の予定を伝えてもらうのが主な内容になるから」


そう言った先生は、受付けの席へと私を手招きで呼び寄せる。

カウンターの内側のデスクには、診察券や母子手帳、問診票なんかが用意してあった。


「初めてきた初診の患者には、保険証を預かって、問診票の記入をお願いする。再診の場合には診察券、保険証は月始めに一回出してもらって、変わりがないか確認。それから、妊婦健診の場合は母子手帳も受付けで預かる」

「あ、ちょっと待ってください。メモ取ります」


初めての病院での仕事だから、あとで自分で見て復習ができるようにと、メモ帳を持参してきた。

忙しい診療中に一度聞いたことをまた教わるのは、先生や他のスタッフに迷惑がかかる。

なるべく自分で対処できるように、聞いたことを書き留めておけば安心だ。


「メモを取るなんて、案外真面目なんだな」


聞いたことを走り書きする私を見て、先生は手元を覗いてくる。

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