過保護なドクターととろ甘同居
「忘れないように書いておけば、あとで役立つと思うので」
「そうか。偉いな、感心した」
そう言った先生の手が予告なくメモする私の頭の上に乗ってきて、ポンポンと軽やかに髪を撫でていく。
突然のことに驚いて顔を上げると、先生は何でもなさそうに穏やかな笑みを浮かべた。
鼓動がぴょんと跳ね上がる。
トクトクと胸の高鳴りを感じ始め、慌てて先生の顔から手元のメモに視線を落とした。
「再診の患者なら、後ろの棚からカルテを用意する。初診なら、新規でカルテを作る。新しいカルテの作り方だけど――」
妙に音を立てて鳴り止まない鼓動が邪魔をして、真剣に聞かなくはならない話に集中できなくなっている。
カルテ記載の説明をする先生の大きな手を見ているだけで、音を響かせる心臓はますます落ち着かない。
メモを取ることに意識を集中させて、頭ポンポンの緊張を必死で和らげた。