過保護なドクターととろ甘同居


「助かるわよね〜、お昼用意してこなくていいんだから。先生には感謝感謝よ!」


席についた宮城さんは早速お弁当の蓋を開けると、「いただきます〜」と手を合わせていた。


木之本さんも宮城さんも、私の母と同年代といった年配の方。

今朝、先生に紹介してもらった時、二人はもうここに勤めて勤続十年以上の大ベテランだと聞かされた。

十年以上ということは、先生のお母様が院長だった頃から働いているということになる。


「受付けの仕事はどう? 覚えられそうかしら」


席につき、割り箸の袋を開けながら木之本さんが聞いてくる。

二人が掛ける向かいの席に腰を下ろしながら「はい」と答えた。


「それは良かった。何かわからないことがあったら遠慮なく聞きにきてくれていいからね」

「はい、ありがとうございます」


木之本さんは、私が患者として病院に来院した時に内診台へと案内してくれたあの看護師さん。

患者として訪れた時も思ったけど、穏やかで微笑む顔が優しい感じで、何だかホッと安心できるオーラを放っている看護師さんだ。

不安を抱えてやってくる患者さんにはきっと癒しの存在に違いない。

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