過保護なドクターととろ甘同居


「慣れるまでが大変よね、病院での仕事は初めてって言ってたもんね?」


箸でおかずを突きながら、宮城さんも私に目を向ける。


「あ、はい。今までカフェでバイトしてたので、医療系の仕事は初めてで」

「あら、そうだったの! じゃあ、今度美味しいコーヒーご馳走してもらいたいわね。ね、木之本さん!」

「ええ、そうね、ぜひ」


助産師の宮城さんは、木之本さんとは真逆なタイプの明るい人だ。

今朝、先生に私を紹介されたあと、「よろしくね!」と豪快に背中をバシッと叩かれた。

そのアクションにはちょっと驚いたけど、午前中、妊婦の患者さんと接する姿を見て、とても信頼を得ている助産師さんというのがわかった。

出産の介助も、きっとこの持ち前の明るさで妊婦さんを励ますのだろうと想像できる。

宮城さんがそばで声を掛けてくれたら、絶対に心強い。

そんな頼れるベテラン助産師さんなのだろう。


二人から遅れてお弁当の蓋を外し、「いただきます」と手を合わせる。

箸袋を開封していると宮城さんが再び口を開いた。

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