過保護なドクターととろ甘同居
「でも、住み込みで先生にお世話になるんだって? 何でまた」
「あの一緒に来院した彼は?」
「えっ、何その話」
宮城さんの質問に木之本さんが俊くんの話題を出すと、あの日、診療室にいなかった宮城さんが食い付く。
お弁当を食べながら私に注目する二人の様子に、何と話そうか言葉を選んだ。
「あの彼とは、別れまして……一緒に暮らしていたので、引越しとか、色々悩んでいたんですけど、たまたま、忽那先生がうちで働かないかと、言ってくださいまして。それで、お世話になることになりました」
ざっくりまとめるとそんなところだが、要約しすぎたのか、二人にはまだまだ質問したそうな空気が漂う。
だけど、さすが大人の女性たち。
根掘り葉掘り聞くのもどうかと思ったのか、静かに頷いてくれる。
「うちに来院してたから、先生とは顔見知りだったってわけね」
と、宮城さんは俊くんの話を察してくれたようだ。
「そうだったの……大変だったのね」
「いえ。私も、先のことちゃんと考えていなかったので、自業自得みたいなところもあって。なので、先生には本当に感謝しています」