過保護なドクターととろ甘同居
先生からしたら、ちょうど求人を出そうと思っていたところに私と出会って、軽い感じで働かないかと聞いたくらいかもしれない。
だけど、路頭に迷いそうだった私にとっては、それは本当にありがたい話でしかなかった。
大袈裟ではなく、先生は私にとって命の恩人と言える。
「でも、あの院長が住み込みで雇っちゃうなんて驚きよねー? 三枝さん、院長に気に入られちゃったんじゃないの?」
急にニヤニヤしだしたと思えば、宮城さんはそんなことを言って私に冷やかしのような視線を送る。
即座に「そんなことないです」と返事を返しつつ、宮城さんの言い方が引っかかる。
「でも、“あの”……とは?」
「え、ほら、院長あんな感じだし、女の子にモテそうじゃない? 実際患者さんにも人気だし。だけど、女性の影が全くないのよ。だから私、もしかしたら女に興味ないんじゃないかって思ってね」
「えっ、それって……」
「ゲイじゃないかって心配してるのよ」
宮城さんの口から出てきたまさかのフレーズに、口がぱかっと開いてしまった。
あからさまに驚いた私の様子に「なんてね」と、宮城さんはペロリと舌を出してみせる。