過保護なドクターととろ甘同居


先生は少し驚いたような表情を浮かべたあと、フッと何がおかしかったのか目を伏せる。

何か変なことを言ってしまったのかと、どきりとした。


「いや、まさか覚えられてるとは思わなくて、ちょっと驚いた」

「えっ、そうですか?」

「何度か注文を受けたことがあると覚えるものなのか?」


そんな聞き方をされて、先生だから特別に覚えていたとは白状できなかった。

それとなく「そうですね、何回か受ければ」と答える。


「すぐできますので、ちょっと待っててくださいね」


カップに注ぐ段階に近付いて、先生に使っていいカップを出してもらう。

先生は興味があるのか、作る工程をじっとそばで見守っていた。

チョコソースと純ココアのパウダーをカップに入れ、抽出したエスプレッソを加えて混ぜる。

そこに泡立てたミルクを注げば、自己流エスプレッソの完成だ。

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